当薬局におけるジェネリック医薬品の比較の際の、選考の優先順位項目について

最近、様々な方面でジェネリック医薬品を選ぶ根拠について語られている文章を散見いたします。ありがたいことに、当社のスタンスにおいて、選定項目の優先順位についての質問も多数寄せられております。

そのなかでも、頻度の高い質問に関しまして、この場を借りてご説明いたします。

 

(1)生物学的同等性試験についての重要性は?

 当社では生物学的同等性試験において、先発品とのAUCやTmax等の差異のパーセンテージなどを算出して優劣を定めることはいたしません。基本的に、日本国で定められた試験に則りこれをクリアして発売された薬剤に関して、疑問を投げかけることはないからです。これよりも優先・考慮すべき観点は他にあると考えます。

つまり、「生物学的同等性試験」の情報は、後発医薬品を選定する項目としての重要度としては、著しく低い位置にあるというスタンスとなります。

 

(2)原薬の産地や調達手段の確保についての重要性は?

「原薬の産地も情報として比較表に載せても良いのでは?」というご意見がしばしばございます。確かに情報として載せることを検討も致しましたが、以下の見解によって重要度が低いということになっております。

①(1)同様、海外から輸入する原薬含めて日本国の基準をクリアしたものが使用されているはずなので、ここに優劣をつける必要性はない。また、情報として載せた際に、下手にミスリードしてしまう可能性がでてくる。

②原薬に問題があり医薬品が回収されるようなことはたびたびある。これはどうしても読めない事象であり、例えば、ラニチジン製剤の回収の件は先発品も同じ原薬を使用していたということもあり不可避である。現実問題、これが将来的に起きない問題にすることは難しい。薬剤師はこの状況に置かれたとき、メーカーの対応や体制に不満を言うのではなく、最初からあり得る事象であると捉え、対応策・代替え案を医師に対しリアルタイムに提案することが何よりも重要と考える。

 

(3)薬価の重要性は?

当薬局の大きな判断基準として「質の良いもの」が上位にあがります。メーカーの大小にかかわらず、様々な工夫をしてより良くした製品は、やはり第一に評価が良くあるべきだと考えます。確かに薬価は重要ですが、”選定の重要度”における観点では質が上であり、薬価は下位であると考えます。

 

(4)先発品との同一性(大きさや形)についての重要度は?

今まで服用している患者様に関して変更する際には、より先発品に似通っている方が説明する上でも納得していただきやすいでしょう。しかしながら、新しく服用する患者様に関しては、全く必要の無い事象でもあります。よって重要度としてそこまで上位にはなりません。

 

ジェネリック医薬品を選定する際に、どのような部分を重要視するのかは各医療機関様によって異なります。よって、当薬局の資料が絶対である必要はありません。むしろ様々なしがらみもあるでしょう、状況により異なることは自然であると言えます。逆に環境の異なる方が選ばれたメーカーの製剤を、半ば強制的に他医療機関や地域に強いることは不自然であるともいえます。

 

皆様のお役に立てれば幸いです。そして質の良いジェネリック医薬品が、メーカーの大小にかかわらずに、健全な競争の中で選ばれ、患者様の元に届くことを切に願います。

 

統括管理部長

牧野唯右

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