とある日常 10

職員から、「私服がひどいから外で一緒に歩きたくない」と詰(なじ)られているL室長である。

速攻で大型ショッピングモールへと足を運び、店員さんにインナーから靴まで上下一式揃えてもらったのは言うまでもない。

 

さて、私は宮古島に計5年間ほど過ごしたことがあるのだが(新卒で約2年間、数年後に約3年間)、今回から数回に分けて宮古島についてコアな部分を中心に、少々紹介しようと思う。

とは言え、今更ながらにこの島の自然の素晴らしさをアピールするのも、ハイパー“インドア”な私が語ると胡散(うさん)臭くなるので、そこは他の人に任せよう。

ナイチャー(“内地の人”の意味。沖縄県出身以外の日本人の事。)が、少しの滞在期間ではわからない、実際に住んで驚いた文化のギャップについて、項目別に実体験を交えて紹介していく。(あくまでもL室長の主観であることを留めて頂きたい。)

 

〇時間

「沖縄の人は時間にルーズである」という認識は、『うちなータイム』という言葉がある通り、うちなーんちゅ(“沖縄の人”の意味。)も認めるところだと思われるが、宮古島には何と『宮古時間』と言うのも存在する。いや、正確には“地元の人が勝手に言っているだけ”なのかもしれないが、『うちなータイム』に輪をかけたものだと理解して頂ければ良いと思う。電車やバスなど、時間に縛られる要素が少ないことが、一つの理由と考えてはいたが・・・。(路線バスは存在するが、使用される方は少ない。)

 

私は新卒で宮古島のとある病院に入職したのだが、その時の私の歓迎会の話し。

社会人1年目の私は、当然のように30分前くらいには周辺を散策し、15分前には指示された居酒屋に入っていた。

・・・が、時間を過ぎても店員に通された10名以上の予約席に、私一人をおいて誰一人居ないし来ない。明らかにおかしい。親しい人間がいるわけでもなく携帯番号を交換している人もまだいない。よって確かめる手段が何もない。社会人一年目の新入社員が先にお酒を頼むこともできない、ただただそこに坐(ざ)しているしかなかった。

 

…30分後、ようやく事務職員と思われる女性が現れた。

「早いわね~」

(・・・?早いわね?いや俺、かれこれ45分間、広い空間で放置プレイを十分に堪能してたんスけど・・・)

「何も頼んで無かったの~?頼んじゃいなよ。」

(なんスかこの『you 頼んじゃいなよ』みたいなジャーニーさん的なノリは・・・)

…60分後、ちらほら職員が現れ始めた。だが遅れてきたことに関して誰も謝らない・・・

(新手の嫌がらせ?でも俺島に来たばっかだよ?)

…そして全員、当然のごとく何の悪びれもなく飲み始めている・・・

(確か俺の歓迎会だよな・・・俺、一応本日の主役だよな・・社会人ってこえー、沖縄こえーよー)

 

“このようなことは日常茶飯事である”ということを、数か月後にようやくわかり始めてきた。私の周りにはどうやら集合時間にシャワーを浴びている人が多かったようだ。身支度の一歩目の行為である。そりゃぁ遅い。

誤解の無いように補足するが、全員がそうだというわけではない。また、会の趣旨によってはしっかり集まる。

ただ一つ、個々の心理的ベースにおいて、「時間に遅れてはならない」という感覚よりも、「ちょっとくらい時間に遅れてもいい」という感覚を持っている方が多数いることは、間違いないと思われる。

過去のL室長の記録を見ていただいている人にはお分かりかと思うが、この独特な時間のとらえ方に関して、(私の性分として)慣れるのに全く時間がかからなかったことも付け加えておく。

 

(⇒次回以降、宮古島編継続予定)

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